アキバのつぶやきBlog
2025.01.16
家の間取りにも脱常識が必要
住宅設備メーカーの営業から、仲介業務と分譲・注文住宅営業に転職したとき、営業の先輩や設計士の方に間取りの書き方や、考え方を教えていただいたのは24年前になります。「思へば遠くに来たもんだ!」ではございませんが、あっという間に月日が過ぎ去るものです。
何もわからず、ただ見よう見まねで考えたプラン図を見てもらいますと、必ずと言っていいほど、「鬼門に玄関とトイレが配置されている!」「収納スペース少ない!」「階段が急すぎる!」「主婦動線が悪い!」「トイレに窓がない!」「お風呂の窓は大き目で!」「ベランダの奥行きは910ミリでは狭い!ベランダは広く!」等など、ダメ出しの連続でした。それでもくさらず、お客様に私の提案する間取りを気に入ってもらいたい一心で、徹夜で何度も何度も描き直したことを思い出します。
モティベーションを維持し、気分を高めるために、机の上で描ける簡易型の製図用具まで購入したり、ステッドラーの製図用品を収集したり、手書きのパース図を描けるようになればお客様にリアルに室内のイメージが訴求できると思い、自費でセミナーに参加したりテキストを買い求めてスキルを身に着けようと努力したことを鮮明に記憶しています。
ところが、先日のつぶやきではないですが、作図に関するセンスが乏しいのか、結局は自分のものにすることができませんでした。でもその時に学習した基本的な間取りの考え方は、今でも忘れずに固定観念となっています。それが、ある時他の業界から転職してきた若い営業マンが描いている間取りを見たときに、唖然とさせられたことがございましたトイレが住宅の中心部に位置されているではないですか。
鬼門って何?と言わんばかりの間取り図に、苦言を呈したのですが、「お客様はこの間取りを気に入っていただき、来週請負契約を締結することになりました」と言われました。
偶々そのお客様だけだったのだろうと思って、その時のことは忘れておりましたが、現代の住宅においてバルコニーは要らないとか、トイレとお風呂に窓は不要という間取りの家が、問題にならない時代になっていることを知りました。
花粉症で共働きの夫婦が多くなった現代では、天気の心配が必要な外干しよりも、室内干しを選択するのは必然となり、無駄なバルコニースペースを設けるよりは室内干しができる部屋を作ったほうが合理的ということのようです。
また、マンション暮らしを子どもの頃からしていますと、トイレもお風呂も窓がないのが当たり前となり、一戸建てを設計するにあたり窓を設置しなくても違和感が湧かない。それなら、高騰している建築コストを抑える意味でも窓を設けないで、価格を少しでも抑えることで顧客が購入しやすくなる間取りが、過去の常識に関係なく取り入れられてきている原因の一つではないでしょうか。
私が歳を重ねてきたという証なのでしょうが、過去の常識が今の非常識ということが年々に増えてくるのでしょうね。物価の高騰が、こんなところまでも浸食してきていると思いますと、過去の体験や常識に縛られずに、日々新たに心新たに人生を歩んでいく覚悟がますます必要だと思うのでした。